高校教育指導課より

キャリア教育の充実に向けて

教育局県立学校部高校教育指導課指導主事 榎本 貴一

 貴研究会におかれましては、日頃、生徒の進路実現のため御尽力を賜り厚く御礼申し上げます。

 本年度全面実施されました新しい学習指導要領において、「キャリア教育」という言葉が明示されるとともに、「生徒が自己の在り方生き方を考え、主体的に進路を選択することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、計画的、組織的な進路指導を行い,キャリア教育を推進すること」と規定されました。

 これを受け、各学校ではキャリア教育の充実を目指して、生徒の実態に応じた年間計画や全体計画を作成して、実践に取り組まれていることと思います。

 近年の生徒をめぐる社会の環境は大きな変革期を迎えています。景気は安定せず、企業はその中で雇用形態を多様化させるなど、将来の展望が見えづらい環境となっています。一方で、進学を希望する生徒も増加していますが、何のために進学するのか、その先をどうするのかといった部分の意識があいまいで、学校での学習に自分の将来との関係で意義を見いだせず、学習意欲が低下し、学習習慣が確立しないといった状況もあります。また、近年では離職率の高さも問題となっています。理想と現実とのギャップや、望んでいた仕事と違う・自分には向いていないなどの理由で、就職後3年以内に離職をする生徒が、高卒で4割以上になるという調査結果もあります。

 こうした中で、生徒たちには様々な課題に柔軟かつたくましく対応することができる力を身につけ、社会人・職業人として自立していくことが求められています。生徒一人一人の勤労観・職業観をはぐくみ、生徒が主体的に進路を選択できる能力を身につけさせる「キャリア教育」は、より一層その重要性を増しています。特に、学ぶことや働くこと、生きることを実感させ将来について考えさせる体験活動をとおして、生徒たちが将来について夢やあこがれを持てるようになることが「生きる力」につながるものと考えます。

 平成23年11月の文部科学省「高等学校のキャリア教育の手引き」の中で、キャリア教育は「特定の活動や指導方法に限定されるものではなく、様々な学校教育全体の活動を通じて体系的に行われるものである」とうたっています。キャリア教育は、日常の学校での教育活動全体を通して、組織的・系統的・計画的に取り組むことが重要であり、各学校が「キャリア教育」について理解を深め、学校の実態に即した全体計画を作成し、現状の教育活動について、キャリア教育の視点をもって見直すことが求められます。

 県教育委員会では、「キャリア教育」推進のため、平成21年3月に「県立高校『キャリア教育』指導資料」を作成いたしました。高校教育指導課のホームページに掲載しておりますので、積極的な活用をお願いいたします。

 最後に、貴研究会のますますの発展を御祈念申し上げますとともに、本県高等学校の進路指導のより一層の充実に御協力いただきますよう、お願い申し上げます。